ファイナンス|リスク

 債務超過

不正会計から端を発した粉飾決算で世間の注目を集めた東芝が、今度は、米国子会社の巨額損失による債務超過insolvency)に陥り、会社自体の存続が問われる状況になっています。

債務超過とは、「株主資本がマイナスになっている状況で、全ての資産を現金化したとしても、負債を返済できない」ということを意味しています。

2017年4月11日に発表された、東芝の2016年度3四半期連結決算概要によりますと、純損益は、5325億円、株主資本は、2257億円のマイナスとなったとのことです。

決算報告書の貸借対照表(バランスシート)を見ると分かりますが、株主資本とは、バランスシートの右側(負債)に計上されているもので、 資本金、資本剰余金、利益剰余金が代表的なものです。株主資本を改善する方法は、増資、資産の処理、負債を減らす、利益を増加させる等があります。

東芝は、債務超過になることを避けるために、稼ぎ頭の半導体事業部を分社化して、その株式を売却することにより、埋め合わせをしようとしています。2兆円とも言われる売却額を誰が出すのか、また、 東芝が培ってきた日の丸技術の流失を防げるのか、様々な問題が噴出し、時間がかかりそうな状況です。

債務超過は、企業の倒産につながる大きなリスクです。東芝のような一部上場企業で、優良と思われていた世界的な大企業のこのような状況を事前に予測することは、なかなか難しいことです。企業の強さの判断材料として、 自己資本比率キャッシュフローを、競合する企業と比較することも、一つの手段です。

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