英語よもやま話

 どういたしまして:You are welcome

この表現は、相手が、「Thank you very much.」 とお礼の言葉を言った時に、返す言葉で、英語圏の人は自然に口から出てきます。 なかなかこの言葉が口からスムーズに出ず、会話が途切れてしまうことが私にはよくありました。

You are welcome.」 を直訳しますと、「あなたは歓迎されています。」 となりますが、オックスフォード英英辞典で調べますと、 「used as a polite reply to thanksお礼に対する丁寧な返答として使う」 となっています。 英和辞典を調べますと、ほとんどの辞典が「どういたしまして」 と訳しています。 「どういたしまして。」 を、講談社の日本語大辞典で調べますと、「そんなことはありません。」 となっています。

日本では、「どういたしまして。」 と言うのは、相手のほめ言葉や謝辞に対して、謙遜して打消す語で、通常、話される場合、 「どういたしまして、こちらこそ失礼しました。」 となります。 この表現を英訳した場合、「You are welcome, but I am sorry, too.」 となり、変な英語になってしまいます。 英語圏の人が、「You are welcome.」 といった後に、「 but I am sorry, too.」 と言うことを私は聞いたことがありません。

英英辞典に書いてある “a polite reply = 丁寧な返答” に対しての日本語訳として 「どういたしまして」 は100%あたっていると思いますが、 英語圏の人が 「You are welcome.」 といった場合には、「気にしないで、いつでもいいですよ。 」 という意味が強く、 日本語の「どういたしまして」 に含まれている “謙遜” という感じはあまりないような気がします。

You are welcome.」 を、日本人の誰が最初に 「どういたしまして。」 と訳したかは知りませんが、 “welcome” の中に含まれている暖かい歓迎を表現する意味が、日本語の謙遜語である “どういたしまして” の中に含まれているような気がしません。

「どういたしまして」 は、名訳ですが、日本語の中に 「You are welcome.」 のように、歓迎・歓待・喜び・感謝の意味を全て含んでいる返答を表現できる適当な言葉がなかったため、 “a polite reply” の訳として、この表現を日本の学者は採用したのではないかと私は勝手に思いこんでいます。

イギリス英語では、「You are welcome.」 の代わりに、日本語で言う 「どういたしまして」 の表現として、 「Not at all, it's my pleasure.」、「Don't mention it.」 も使われます。

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